森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 日本は非核化の財布になる (1/2ページ)

週刊実話

 5月22日の米韓首脳会談で基本戦略の摺り合わせの後、すぐに米朝首脳会談が行われる。
 北朝鮮の非核化交渉が、いよいよ大詰めを迎えるのだ。これまでの準備作業で、米国、韓国、そして中国は一定のプレゼンスを示してきたが、圧力一辺倒の日本は、ずっとかやの外だった。ところが、金正恩委員長は、先の南北首脳会談の中で、米朝首脳会談が終わったら日朝首脳会談に応じる意向を示したとされている。北朝鮮の目的はたった一つしか考えられない。日本から経済協力という名のカネを引き出すことだ。それも、目がくらむほどの金額を要求してくる可能性が高いと、私は思う。

 北朝鮮は、核兵器を放棄することと引き換えに、核開発に費やしたコストの補償を求めてくるだろう。その際、北朝鮮が日本への要求額の基準としてくる可能性が高いのが、日本が韓国に支払った「戦後賠償」だ。1965年の日韓基本条約で、韓国が日本への賠償要求を放棄する代わりに、日本は3億ドルの無償資金協力を行った。同時に、返済が必要な有償資金協力が2億ドル、民間借款で3億ドルの合計8億ドルを支払っている。これを現在の為替および物価に換算すると、無償資金協力だけで1兆円、民間資金まで含めると2兆7000億円を支払ったのだ。北朝鮮は、非核化に際しても同様の金額を要求してくるだろう。
 それでも、北朝鮮が本当に核を完全放棄するのであれば、日本が負担する意味はある。しかし、北朝鮮は、これまでも国際合意を裏切り続けてきた。もし、日本が巨額の援助をしたあと、北朝鮮が核開発を再開させれば、資金をドブに捨てることになってしまう。

 私は、北朝鮮に核開発を再開させない一番よい方法は、米国が金王朝の体制を保証するという名目で、米朝安全保障条約を結び、北朝鮮国内に米軍の海兵隊基地を置くことだと思う。もし海兵隊基地を置かれたら、北朝鮮は絶対に核開発をすることができない。それは、日本が証明している。
 日本はいま、原発から生まれるプルトニウムの処理方法が見つからず、どんどんたまり続けている。簡単に原爆が作れる状況にあるのに、日本の核開発を心配する声は、ほとんどない。日本がIAEAの査察を受けているからではない。日本に米軍の海兵隊基地が存在し、万が一日本が核開発に手を染めれば、あっという間に占領するからだ。

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