社会正義が関係すると我々の脳は世界を極端に2極化する。”我々”か”我々以外の彼ら”か。仲間意識の持つ恐ろしさ (3/5ページ)

・同一性による報酬
恐怖、不信、不安とは反対に、中脳辺縁系という神経細胞の回路は”報酬”の感覚に決定的な役割を果たしている。
ここは快感の強化に関連するドーパミンという神経伝達物質の放出を調整している。ドラッグやゲーム、あるいは賭博などの依存性は、中脳辺縁系のドーパミンの増加と相関がある。
ドーパミンに加えて、オキシトシンのような神経化学物質も、中脳辺縁系の回路を調整することで、特に社会的相互作用に関連する報酬と快感に大きく影響する。
社会的行動と報酬を司る神経回路は、脊椎動物の進化の初期段階に生じており、哺乳類だけでなく、鳥類、爬虫類、硬骨魚、両生類にも存在する。
仲間集団対よそ者集団の対立という社会的状況における人間の報酬回路活動に関する情報は多くはないが、ほかの哺乳類の研究からは驚くべき結果が得られている。
例えば、スタンフォード大学の神経科学者カール・ダイセロスらは、遺伝的試験と行動的試験に「ファイバーフォトメトリー」という特定の細胞のスイッチを光で切り替える最先端のアプローチを組み合わせた。
これによって、報酬経路にある特定の神経細胞を刺激しつつ、これまでにない精度で測定することが可能になった。ダイセロスらは、これを社会的状況におかれたマウスに行なっている。
その結果、中脳辺縁系の報酬ループ内にあるドーパミン神経細胞の特定グループの神経シグナルは、マウスが初対面のマウスに出会ったときに増加することが判明した。