世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第281回 日本の治水事業費の真実 (2/3ページ)

週刊実話

何しろ安倍政権がまともに公共事業をやっているかのごとく印象操作を行い、財務省の緊縮財政をサポートしているわけである。

 それにしても、「コンクリートから人へ」と、イデオロギー的に公共事業を減らしていた民主党政権はともかく、なぜ「デフレ脱却」を掲げた安倍政権までもが、公共事業、特に「治水事業費」を増やそうとしなかったのだろうか。
 特に異様なのは、'15年の鬼怒川決壊という大災害を経てなお、治水事業費がろくに増えていない点だ。
 もちろん、'13年6月に「プライマリーバランス黒字化(基礎的財政収支、以下PB)」などという狂った目標が入った骨太の方針を、安倍政権が閣議決定したためである。

 PB黒字化のテーゼに従うと、高齢化で社会保障支出が増大していかざるを得ない(別に構わないのだが)わが国においては、
 「社会保障が増える分、それ以外の予算は削れ」
 という話になってしまう。あるいは「増税しろ」である。結局のところ安倍政権とは、
 「国民の生命や財産を守ることよりも、PB黒字化目標を達成することが重要」
 という考え方で、政権を運用してきたのである。

 結果が、今回の大災害。例えば、岡山県倉敷市真備町を流れる小田川の今回の決壊個所は、防災関係者の間で「決壊の可能性が高い」と認識されていた地点だった。それにも関わらず、政府が予算をつけず、堤防強化は行われてこなかった(計画はあったのだが)。
 無論、同種の問題を抱えた地域は、全国のいたるところにある。データを見ると、80年代から現代にかけ、雨の量が明らかに増えている。現在の日本の「国民を守る防災インフラ」は、かつての雨の量を前提に建設されたものだ。しかも、建設から半世紀以上がすぎ、老朽化という問題も発生している。それにも関わらず、公共事業を否定するのだろうか。

 西日本豪雨大災害を受け、さらに来年は参議院選挙を控えていることもあり、自民党内で「国土強靭化」を求める声が高まっている。ちなみに過去5年間、安倍政権が国土強靭化関連で何をしていたのかといえば、ほとんど何もしていないのも同然だった。何しろ「予算」が付いたためしがない。
 というわけで、自民党の重鎮たちが、ようやく国土強靭化を言い出した。

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