世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第299回 移民卑劣なコンセッション (2/3ページ)
だからこそ災害発生時に、電力会社は「電気事業法」の下で、自らユニバーサルサービスの回復を図る。災害時に、わが国において停電が速やかに復旧していくのは、電力会社が「電力マン」としての誇りの下で、利益度外視で「国民の電力を守る」ために働いてくれるおかげなのだ。
ところが、水道民営化はコンセッション、つまりは新規参入した民間事業者は、設備の維持管理について一切責任を負わない。何しろ、自分の資産ではないのである。要するに、自然災害時のリスクを自治体に押し付けたまま、美味しい部分だけを「ビジネス」と化す形で進められているのが、現在の水道法改正案なのだ。
図の通り水道コンセッションの場合、水道管や取水施設、貯水施設、導水施設、浄水施設、送水施設、配水施設といった水道ネットワークについては、自治体が保有し、かつ災害時の「復旧責任」を負い続ける。民間事業者(水道施設運営事業者)は自治体とコンセッション契約を締結し、運営権に基づき住民に水道サービスを提供し、料金を徴収する。事業者は株式会社であるため、水道「ビジネス」の利益から株主に配当金を、銀行に金利を支払う。
つまりは、今回のコンセッション方式の民営化は、水道サービスの「ビジネス化」あるいは「金融化」なのだ。特定の株主や銀行の「利益」になるからこそ、日本政府は国民の生命の基盤である水道を「売り飛ばそう」と図っている。
フランスの水道メジャー「ヴェオリア」などは、日本における水ビジネス展開時に「災害リスク」を負いたくない。だからこその、コンセッション方式なのだ。しかも、水道などの公共部門で民営化を推進する内閣府民間資金等活用事業推進室に、何とヴェオリア社日本法人からの出向職員が勤務していることが判明している。ヴェオリアの社員が内閣府の推進室に入り込み、「自社」のリスクを最小化する形の民営化法案を「書いた」のではないか、と誰でも疑問を持つだろう。
過去にコンセッション方式で民営化された関西空港は、台風21号の被害が出た際に、民間事業者の関西エアポート(オリックスと仏パンシ・エアポートの合弁)の対応が混乱し、復旧が遅れに遅れた。最終的には、国土交通省が乗り込み、事態を収集する羽目になった。