「扇と仏教との関係」ーー扇は仏教によってどのように発展してきたか (2/4ページ)

心に残る家族葬



■扇と仏教の関連性 「扇面古写経」

扇の使われ方の仏教的な発展の一例として、「扇面古写経(せんめんこしゃきょう)」というものがある。これは平安後期、当時は末法思想と法華経信仰が貴族階級の間に流布していたことからつくり出されたもので、扇の地紙に、風俗を描いた大和絵と経文が記されている。その事例は、大阪・四天王寺と東京国立博物館に残る、国宝『扇面法華経冊子(せんめんほけきょうさっし)』だ。表紙に法華経を修する行者の守護神として位置づけられている「十羅刹女(じゅうらせつにょ)」が平安時代の女房姿で描かれている。

本来『扇面法華経冊子』とは、法華経8巻と開経(かいきょう、最初のお経)の無量義経(むりょうぎきょう)・結経(けっきょう、最後のお経)の観普賢経(かんふげんきょう)の冊子10帖から成るものだが、現在は四天王寺に法華経巻1、6、7と開結(かいけち)2経の5帖、東京国立博物館に法華経8の1帖、合計6帖分が残る他、滋賀・西教寺(さいきょうじ)・藤田美術館(大阪)・出光美術館(東京)・個人所蔵の5扇分の断簡(だんかん。切れ切れになって残っている文書・書簡など)が残るのみである。

『扇面法華経冊子』に描かれた大和絵は素朴な筆致で、貴族や庶民の日常生活を描いているが、経の内容とは直接的な関係はないとされている。

■扇の製作方法とは

残された扇の製作技法を調べると、以下の違いがある。

A類は、料紙に雲母粉を地塗りし、線描で下図を施した上に彩色し、濃墨で描き足したもの(27面)。B類は料紙に直接木版で下図を刷り、雲母の地塗りで覆った上から彩飾仕上げを施したもの(18面)。C類は雲母地の上から下図を墨刷りし、彩色や描き起こしを加えたもの(9面)に大別される。それ以外にも、B類とC類の木版下図を部分的に用い、画面の他の部分に彩色画を加えたもの(5面)など、実に手の込んだつくりとなっている。
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