世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第308回 「いざなぎ超え景気拡大」の真実 (2/3ページ)
内閣府の景気動向指数研究会の資料には、
『景気の山(谷)設定に当たっては、ヒストリカルDIが50%を下回る(上回る)直前の月を山(谷)候補とした上で、(1)転換点を通過後、経済活動の収縮(拡大)がほとんどの経済部門に波及・浸透しているか(波及度)(2)経済活動の収縮(拡大)の程度(量的な変化)(3)景気拡張・後退の期間をすべてみたしているか等について検討している』
と、説明されている。つまりは9つのDIの内、過半数の5つがマイナスになれば、その直前の月が「景気の山」として認定されるのか、と思えばさにあらず。
’14年4月、ヒストリカル指数9の内、何と7つが一気にマイナスに落ち込んだ。理由は、日本人であれば小学生でも分かるだろう。もちろん、消費税率を8%に引き上げたためだ。
ヒストリカル指数が22・2%と、50%を下回った以上、普通に考えて’14年3月を「景気の山」とし、’14年4月から’15年12月までを「景気後退期」として認定しなければならないはずだ。とはいえ、景気動向指数研究会は、’14年4月に日本経済が「景気後退」に陥ったことを認めるわけにはいかなかった。
理由は、研究会の「座長」が誰なのかを考えれば分かる。研究会の座長は、立正大学教授の吉川洋氏。本連載にもたびたび登場した、代表的な財務省の「御用学者」である。
’14年4月に、消費増税により日本経済が景気後退に突入したことを認めると、’19年10月の消費税再増税は困難になる。とはいえ、ヒストリカル指数を見る限り、’14年4月以降の景気後退は、あまりにも明らかだ。さて、どうするか。
というわけで、先の説明の判断基準(1)から(3)の出番である。そもそも、(1)(2)(3)の判断基準は、これまた極めて抽象的かつ曖昧である。というわけで、ヒストリカル係数の8割近くがマイナスになったとしても、
「転換点を通過後、経済活動の収縮がほとんどの経済部門に波及・浸透しているとは言えない」
といった屁理屈を主張し、’14年4月以降の景気後退を否定することが可能なのだ。