世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第309回 国債発行が家計の預金を増やす (2/3ページ)

週刊実話

厳密には、誰かがおカネを借りるとき、あるいは誰かの「借用証書」と引き換えに、銀行は預金を発行する。

 例えば、読者が銀行から3000万円を借りるとしよう。3000万円を現金紙幣で借りる人はまずいない。借りる「おカネの種類」が何かといえば、もちろん銀行預金だ。

 それでは、銀行側は読者に貸す3000万円を、どこから調達したのか。実は、どこからも調達していない。単に、読者が差し入れた借用証書と引き換えに、読者の銀行預金の通帳に「3000万円」と書き込むだけだ。
「書くだけで、おカネを発行できるのか!!」
 と、思われただろうが、事実なのだから仕方がない。

 あるいは、読者が10万円分の現金紙幣を「銀行に預けた(この「預ける」という表現はどうかと思うが)」ケースを考えてみよう。その場合、銀行は「現金紙幣という借用証書」と引き換えに、銀行預金というおカネ10万円を発行する。

 現金紙幣は、さすがにご存知の読者が増えているだろうが、日本銀行の借用証書である。銀行は、読者が持ち込んだ日銀の借用証書と引き換えに、銀行預金というおカネを発行する。これが「銀行におカネを預ける」プロセスの正体である。

 というわけで、政府の国債発行から「読者(家計)の銀行預金が増える」までの流れを見てみよう。
 まずは、日本政府が国債を発行し、銀行から「日銀当座預金」というおカネを借りる。この時点で勘違いしている人が多いのだが、政府が国債発行で借りるのは、銀行預金ではない。日銀当座預金である。我々、民間の企業や国民は「日銀当座預金口座」を持っていないため、このままでは政府は支払いができない。

 というわけで、政府は借り入れた当座預金を担保に「政府小切手」を発行し、公共事業等の支払いを企業に対して行う。もっとも、政府小切手を受け取った企業も、そのままでは給与等の支払いができない。

 企業は政府小切手を銀行に持ち込む。銀行は持ち込まれた政府小切手という「借用証書」と引き換えに、銀行預金というおカネを発行する。ようやく、おカネは民間が「自由に使えるおカネ」へと姿を転じた。企業は銀行振り込みで従業員に給与を「分配」する。銀行預金というおカネが、企業の銀行口座から、家計の銀行口座に移る。

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