脳の保護液の作用を模倣。革新的な自転車用ヘルメットが誕生 (2/4ページ)
また最近では、単純に衝撃のエネルギーを分散することが、脳震盪を防ぐうえでは理想的ではないこともわかってきた。

image credit:Trek Bicycle/youtube
発泡スチロール製ヘルメットは、主にまっすぐなエネルギーを吸収する。しかし、自転車で転んだ人は必ずしもそのように転倒するわけではない。むしろ頭部は転がるように動くだろう。
そして一番危険なのは、こうした回転によって起きる脳震盪なのである。
脳の中は、天然のクッションである脳脊髄液で満たされている。しかし回転が加わると脳脊髄液が偏ってしまい、保護されていない部位ができてしまう。
このせいでデリケートな内部の神経を傷つけやすくなるのである。
・滑ることで回転の衝撃を和らげるMIPS
2001年、スウェーデン王立工科大学の研究者によって「MIPS(多方向衝撃保護システム)」という技術が考案された。
ごく大雑把にいうと、MIPSは脳脊髄液の動きを模倣する。発泡スチロールのように直接的・直線的な力の衝撃を和らげるのではなく、斜めの衝撃による回転力を逃すように機能するのだ。
MIPSは基本的にヘルメットに張る薄い裏地のようなものだ。これがヘルメットのシェルとの間に低摩擦層を作り出し、脳脊髄液のようにヘルメットが前後にスライドできるようにする。
これによって、回転のエネルギーを吸収するのである。