世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第314回 1997年以上に消費が落ち込んだ’14年増税 (2/3ページ)
図からも分かる通り’97年よりも’14年の方が、駆け込み消費の規模も、「駆け込み消費後の落ち込み規模」も、共に大きくなっている。ここまではまあ、いいとしよう。
問題は、’97年増税期は実質の消費が12四半期後、つまりは3年後に増税前の水準に回復し、さらには増税前の駆け込み消費の水準を上回るところまで「拡大」したにも関わらず、’14年時は全く見られないという点である。
信じがたい話だが、’14年増税時は、5年後(’18年10―12月期)に至っても、増税前の駆け込み消費“前”の水準(’13年10―12月期)にすら戻っていない。
’97年時は、実質の消費が4年以上かけたものの、一応、元の水準に戻っているため、「U字型」と表現し得る。それに対し、’14年は明らかに「L字型」だ。
実質消費の落ち込みは、’14年時の方が’97年時よりも酷い。ところが、’97年の消費税増税は日本をその後、長期のデフレに叩き込んだ。その’97年時よりも、’14年の方が実質の消費の落ち込みは激しい。
この状況で、もう一度、増税を強行するというのか。
実質の消費が減るということは、目の前の「販売数量」、「生産数量」の減少そのものである。現在の日本は、少子高齢化に端を発する生産年齢人口比率の低下を受け、人手不足が深刻化している。
直近の失業率は2.5%であるが、これは完全雇用に近い水準だ(日本の完全雇用の失業率は2%強)。それにも関わらず、実質賃金が上昇していない。つまりは、企業が生産性向上の努力をしていない。
理由の一つが、’14年4月の消費税増税による販売数量、生産数量の落ち込みであることは疑いない。実際に、日本の実質賃金は、’14年第2四半期以降、急激な低下を示した。目の前で販売数量が減っている以上、経営者は生産性向上に前向きにはならない。その反対側で、人手不足は人口構造の変化の影響により容赦なく進行する。
結果的に、雇用の改善と実質賃金の下落が“同時”に起きているのが、現在の日本だ。
ところで、半年後に迫った消費税率の引き上げに向け、外食や小売業界において、商品の価格表示を見直す動きが相次いでいる。つまりは、値上げだ。