「たかがゲーム」では済ませられない「ドラクエ」の物語性とは何か(さやわか) (4/7ページ)

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 このように、平凡な主人公が異世界へ渡った結果、そこでは優れた才覚を発揮するという物語で、今の若者に確実に影響を与えたファンタジー作品には、もうひとつJ・K・ローリング作で大ベストセラーになった『ハリー・ポッター』シリーズ(1997-2016)があります。むしろ異世界へ転生して大活躍するという展開が定番のものになったのは、『ハリー・ポッター』シリーズが今の若者に小学校時代から大きく影響を与えてきたせいだとすら言えます。
 しかし、なろう小説の場合、異世界へ行ってからはあからさまに「ゲームのような世界」で冒険することになるのが興味深いです。
 この「ゲームのような世界」は、まさしく自分が勇者になったり、目的が魔王を倒すことだったりするような、ひどく「わかりやすい」ものであることが普通です。そういう設定を幼稚なものだとしてさげすむ人もいるでしょう。しかしここで考えるべきなのは、我々がなぜそれを「わかりやすい」と考えるのか? ということです。その「わかりやすさ」とは、どこに由来するのでしょうか? それはひとえに、年代前半からドラクエが、私たち日本人の心にファンタジーものの基礎知識として存在したからではないでしょうか。

日本人の感性との特殊な結びつき

 しかも、面白いことにドラクエは、海外だと日本ほどに売れているわけではありません。たとえば2009年発売の『ドラゴンクエストIX 天空の守り人』は日本国内で430万本以上売れています。しかしこれが世界市場になると、各国を合わせても105万本です。つまり、明らかに海外より日本で売れている。
 海外でもそれだけ売れていれば十分だと思うでしょうか? しかしたとえば、同じ2009年に発売された『ファイナルファンタジー』(スクウェア・エニックス)は、日本で190万本以上、海外だと660万本以上を売り上げています。2006年発売の『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』(任天堂)は日本では60万本ですが、世界で880万本以上売れています。
 だいたいドラクエは、1990年に発売された『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』までは海外でも発売されましたが、その後は2000年発売の『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』まで、海外版が作られませんでした。

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