批判する力はメモを取ることから始まる 前川喜平×谷口真由美対談(2) (5/6ページ)

新刊JP

谷口:今、やたらイノベーションって言いますけど、「なんでやろ」と考えへん組織にイノベーションは起こりようがないですよね。批判を許さない、意見を許さない組織ってありますけど。

前川:会社にしても役所にしても、そして学校にしても先祖返りといいますか、考えさせない方に世の中が動いていると思うんですよ。それはひじょうに危険に思えてならない。

私が課長補佐や課長になる頃の文部科学省の政策は、一人一人の子どもたちが自分で考えるということが大事であり、考えて判断して行動できる人間に育てていきましょうという方向性を持っていました。今でもその考えの基盤は変わっていないけれど、政治判断で考えさせない方向にいっちゃっている。それが極端な形で出ているのが、今の道徳教育なんですよね。

谷口:それは危ないですよね。考える余地がないということは。人権にまつわる講演会でよく「普通」「当たり前」「常識」「一般的」「皆言っている」という言葉を使わずに説明をできますかと聞くんです。

例えば「どうして空は青いの?」と子どもに聞かれたら、「そんなん、昔から青いねん」とか言ったらそこから広がらないじゃないですか。昔教えてもらったけど忘れたなら、そう正直に答えて「一緒に勉強しよか」って言えばいいんですけど、賢いふりをして「そんなん当たり前やん」って答えたらそこで終わっちゃいますよね。

世の中の「当たり前」を疑うことがなくなれば、それは停滞しますよ。例えば「男女平等だからトイレは男女同じ数」って言うけれど、国連の基準でいうと災害時のことを考えた場合、男性1に対して女性3設置しないといけないんですよ。これ、行楽地のサービスエリアを見れば分かると思うんですが、混むのは女子トイレなんですよね。でも、形式的な平等に捉われると1:1で置いちゃう。

去年の西日本豪雨の際、避難所で倒れたのはおばあちゃんが多くて、それは何故かというとトイレが混んで足りないとか、遠いところにあるから大変とかで、水分を取るのを控えて脱水症状になってしまったから。

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