世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第321回スペンディング・ファースト (2/3ページ)
実は、政府は徴税や国債発行などせずとも、普通に「おカネ」を発行できるのである。「おカネを発行してもいい」や「おカネを発行可能」という話ではなく、実際に「おカネを発行している」のだ。
この“現実”を「OMF(Overt Monetary Financinag)」と呼ぶ。OMFは、日本語では「明示的な財政ファイナンス」と翻訳されているが、抽象的で分かりにくいため、筆者は「明示的な貨幣供給」と呼んでいる。“明示的”とは、「あからさまな」という意味でもある。
図はOMFのプロセスを説明したものだ。前回(第320回)の「統合政府のバランスシート」同様に、今回のOMFのこの図も“本邦初公開”である。
まずは、日本政府は日本銀行(市中銀行ではない)に財務省証券を持ち込み、日銀当座預金を発行してもらう(図(1))。日本銀行からしてみれば、財務省証券と引き換えに、政府の当座預金口座の数字を増やすだけだ。
政府は日銀当座預金を担保に、政府小切手で企業(図の会社)が提供したモノ、サービスの代金を支払う(図(2))。企業は政府小切手を市中銀行(図のBANK)に持ち込み、銀行預金を発行してもらう(図(3))。市中銀行側は、政府小切手と引き換えに、企業の銀行預金の口座の残高を増やすのだ。企業は銀行預金から従業員への給与を分配し(図(4))、あるいは下請けへの代金を支払う。最後に、市中銀行が政府小切手を日本銀行に持ち込み、日銀当座預金で決済する(図⑤)。
お分かりだろう。図の通り、政府は徴税や国債発行なしで、普通におカネを支出しているのだ。もちろん、日本政府には「財務省証券」という日銀に対する債務は残るが、統合政府で考えれば「貸し手(日銀)」と「借り手(政府)」が同一経済主体になり、連結決算で相殺である(つまりは、実質的に消滅する)。
興味深いのは、政府のOMFによるおカネ発行が、図(3)にて銀行預金という「マネーストック」を増やしていることだ。さらには、図(2)の通り、政府は企業が生産したモノ、サービスへの支出をしているため、GDPが増えている。
マネーストックやGDPが拡大しているにも関わらず、統合政府には何の「負担」も生じていない。