松尾スズキ、笑いを追求する人間力「職業は“喜劇人”」 (1/3ページ)

日刊大衆

松尾スズキ(撮影・弦巻勝)
松尾スズキ(撮影・弦巻勝)

 今回、『108〜海馬五郎の復讐と冒険〜』という映画作品で、監督・脚本・主演という、“三足のわらじ”をはきました。

 僕は「大人計画」という劇団を主宰していて、そこでは脚本・演出・主演の3役を同時にこなしてはいましたが、映像ではこれが初めて。頭の中で作ったシーンを、まずは代役の俳優に演じてもらって、本番では自分でやって、カットかけたらモニターでチェックして……の繰り返し。舞台での経験もあるので、頭は役割ごとにちゃんと切り替わるんですが、映画だとあまりにもシーンの数が多い。これを延々とやるのは、さすがにヘトヘトになりましたね。しかも今回の作品では、僕が服を着てないシーンが多かったので、半裸のまま駆け回ってましたし(笑)。

 全部自分でやっているので、主演俳優に“ダメ出し”をする手間は省けたものの、自分の演技に対して不満がある場合は、納得がいくまで撮り直すことになる。他の現場ではなかなかそこまでできないので、それは良かったんですが、撮影時間は長くなりますよね。すると台詞が出てこなくなったり、ロレツが回らなくなったり……。

 ただ、精神的にも肉体的にもハードではあったけど、自分の体が動くうちに、「主演映画」を撮っておきたかった。まだ動けてはいますが、以前に比べて落ちてはきている。だからこそ、自分が動く“ドタバタコメディ”を、アーカイブとして残しておきたいという思いがあったんです。

 僕は、もうすぐ還暦を迎えようとしていますが、「これまでできていたことが、どれだけできなくなっていくかな」と、不安に思うことはあります。ただ、できあがった作品を観て、「若い頃にできなかったことができているな」と感じることもある。若いときは“何かやってやろう”と、余計な芝居までやっていた。でも今は、真面目に演技して、ふざけたことができるようになっている。それが年齢を重ねたということなのかな、と。

■喜劇以外にも、今後もうひとつやってみたいこと

 今回の作品のきっかけは、そういうわけで“僕の主演作品”なんですが、まず「監督と主演の両方をやる場合、他の人が一番やりたくないことはなんだろう?」と考えたんですね。

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