小説家と声優「表現者」としての違いとは? 平野啓一郎と速水奨が語る小説論、演技論(後編) (1/5ページ)

新刊JP

オーディオブック版『ある男』で朗読を担当した速水奨さん
オーディオブック版『ある男』で朗読を担当した速水奨さん

弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、事故で命を落とした里枝の夫・大祐に関する奇妙な相談を受ける。そこで明らかになったのは「大祐」が全くの別人だったという衝撃の事実だった…。

「私とは何か?」という問いとともに「愛」をテーマにした本作は小説としても高い評価を受けている平野啓一郎氏の最新作『ある男』(文藝春秋刊)。

そのオーディオブック化を記念して平野氏とオーディオブックで朗読を担当した、声優・速水奨氏のお二人に本作への思いとお互いの仕事についてお話をうかがう対談企画。小説家と俳優、分野の異なる表現者ならではの話が展開するインタビュー。その後編をお届けします。

特別対談前編「良い小説は『ボイス』が聞こえてくる」はこちらから

(インタビュー・記事:大村佑介)

■「若いときのものは恥ずかしい」とは思わない ――平野さんはご自身の活動を一期から四期まで分けていて、『透明な迷宮』以降が四期。そして、本作『ある男』も四期に含まれますが、本作はそのなかでどのような位置づけになりましたか。

平野:三期のあたりから分人主義ということを考えはじめて、三期はどっちかというと「個人の中には色々な人格があって、それが普通なんだ」ということを色んな形で表現していったんですね。

でも、対人関係ごととか場所ごとにいろんな自分になるということは、結局、外の世界からの影響を大きく受けていることになる。だから四期以降は、運命論的じゃないですけど、いろんな環境とか社会制度の影響をうけながら一人の人間の人生が翻弄されて、うまくいくこともあればうまくいかないこともあるという、環境と人間との関係に重点を移して分人を考えていこうとしています。それを突き詰めた一つの形が『ある男』という小説かなと思いますね。

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