小説家と声優「表現者」としての違いとは? 平野啓一郎と速水奨が語る小説論、演技論(後編) (2/5ページ)
――ちなみに四期の出口は今の段階では見えているんでしょうか?
平野:今度、新聞連載がはじまるんですけど、そのあたりで一区切りかなと考えています。
――それは次作も見逃せませんね。平野さんはデビューされて21年のご自身の活動をこのように「期」にわけて考えていますが、今年で活動40周年となる速水さんは、ご自身の俳優人生を「期」で分けるとしたら今はどういう段階でしょうか?速水:アニメの評論家の方が僕の活動を「期」でわけている方がいらっしゃいますが、僕のなかでは明確に変わったのは、デビュー12、3年くらいの頃ですね。アニメーションって子供向けのものと思われがちですけれど、今世の中に出ているアニメのほとんどは大人向けなんですよね。僕のデビュー作もそれこそ大人向け作品でした。
それが変わったのが『勇者エクスカイザー』という作品です。当時、ロボットは人が乗って操縦するもので、ロボットが声を出すという設定はあまりなかったのですが、そこで僕は主人公のロボット生命体の役をやったんですね。そうしたら、アニメを見ていた子供たちがお手紙をくれるようになって、それも「声優・速水奨」ではなくて「勇者エクスカイザー」に。
「地球を守ってくれてありがとう!」みたいなメッセージをもらいました。

それまで僕は、自分の職業は、完成されたセリフを録音したら終わりだと思っていたんですけれど、そういう手紙や声をもらったときに双方向の仕事だと思ったんです。
「声というパーツを提供しているだけの自分」だったのが、作品世界の中に一員として、子供たちに発信して、子供たちがそれに応えてくれるということを感じた。そのときに「この職業ってなんて素敵なんだ」と思えるようになりましたし、仕事においてアンサンブルのようなものを意識するようになりました。これは自分にとっても大きな変化でしたね。