世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第344回 医療の「余裕」を削減してはならない (2/3ページ)
消費税増税による需要縮小対策として、キャッシュレス決済のポイント還元が行われているが、これも’20年6月末で終了だ。オリンピックの直前、日本の家計は消費税「再増税(事実上)」の憂き目に遭うことになる。
とはいえ、増税で我々の所得を奪い取るだけでは、PB黒字化は達成できない。世界屈指の自然災害大国において、防災投資を削り、教育や科学技術といった将来のための予算も削減。そして、最大のターゲットが社会保障費、具体的には年金や医療費なのだ。
10月28日、安倍総理大臣は、経済財政諮問会議において、都道府県ごとに策定された構想に基づき病院を再編し、過剰なベッド数の削減などを進めるよう関係閣僚に指示した。財務省の「飼い犬」たる経済財政諮問会議は、厚生労働省が公立・公的病院の再編、統合をめぐり、診療実績が特に少ないなどの全国400余りの病院名を公表したことを受け、「病院や過剰なベッドの再編は、公立公的病院を手始めに、官民ともに着実に進めるべきだ」と、提言した。
特に、ターゲットになっているのは「地方の医療」である。今後、我が国の地方では、病気になったとしても、「病院が存在しない」「ベッドに空きがないため入院できない」状況が加速していくことになる。
そもそも、診療実績が少ない病院とは、まことに結構な話ではないか。何しろ、住民が健康で、医療サービスを受ける必要がないことを意味しているのだ。
むしろ政府は、国民の健康状態が改善し、病院に通う人が減ったとして、「それでも、いざというときに備え、各地の病院の供給能力を維持するためにはどうすればいいのか?」に、知恵を絞らなければならないはずだ。
かつての日本人が、地域の土木・建設業を健全な競争の下で存続させるために、指名競争入札と談合という「知恵」を働かせたのと同じである。
落ち着いて考えてみて欲しいのだが、例えば、「犯罪が激減し、刑務所の刑務官が暇をしている」社会は、悪い社会なのだろうか。犯罪が減っている以上、「よい社会」なのではないか。犯罪減少で刑務所の受刑者が減ったとして、「犯罪が(今は)減っているのだから、刑務所は維持不要。