世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第344回 医療の「余裕」を削減してはならない (1/3ページ)

週刊実話

 誰かの赤字は、誰かの黒字。誰かの黒字は、誰かの赤字。これは、誰も否定できない法則である。

 大相撲を例にすると分かりやすい。1つの場所において、すべての力士が勝ち越すことは可能だろうか。もちろん、不可能だ。白星の力士の反対側には、必ず黒星の力士がいる。全力士の勝ち越し、あるいは負け越しの数字を合計すると、必ずゼロになる。

 経済における黒字、赤字も同じだ。国民経済を織りなす4つの経済主体、すなわち「家計」「企業」「政府」そして「海外」の収支(黒字、赤字)の合計は、常にゼロである。

 例えば、4つの経済主体の内、家計、企業、政府の3者が黒字になったとき、海外は絶対に赤字。そして、赤字額は家計、企業、政府の黒字額の総計と等しい。

 安倍政権は、いまだにプライマリーバランス(基礎的財政収支、以下PB)の黒字化目標(2025年)を掲げている。政府が赤字を縮小すると、その分、民間(家計、企業、海外)の黒字が縮小するか、もしくは赤字が拡大する。

 安倍政権のPB黒字化目標とは、民間赤字化目標なのである。安倍政権は図の「成長実現ケース」に沿った形で、2025年にPB黒字を達成しようとしている。つまりは、民間の黒字を減らすか、もしくは赤字を拡大させるわけだが、さすがに、「政府の黒字を達成するため、日本国民や日本企業の黒字を減らし、皆さんを貧困化させます」とは説明できない。

 というわけで、安倍政権のPB黒字化目標は、海外の赤字をリーマンショック前の水準まで膨らませることが前提となっている。つまりは、日本の貿易黒字を、アメリカ不動産バブル絶頂期(’06年)規模に拡大するという話だが、そんな妄想を信じる人は1人もいないだろう。何しろ、米中貿易戦争、ブレグジット、ユーロ圏の失速と、日本の外需の環境は悪化する一方である。

 というわけで、安倍政権はPB黒字化目標を達成するために、結局は「民間の家計・企業の黒字を削る」路線を採らざるを得ない。企業優先の傾向が強い安倍政権の場合は、特に「民間の家計の黒字を削る」ことに主眼が置かれることになるだろう。

 10月1日に消費税率が10%に引き上げられ、我々「家計」は可処分所得を減らされた。

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