世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第346回 災害史の日本 (2/3ページ)

週刊実話

イングランドの再統一を果たす。ところが、11世紀、現英国王室の祖であるウィリアム1世のイングランド侵略、いわゆる「ノルマン・コンクエスト」により、ヨークは破壊されてしまう。

 ノルマン朝が始まり、ようやく落ち着いたと思ったら、ピューリタン革命後の内戦時、ヨークは議会軍に包囲された。侵略者は、繰り返し襲来する。

 また、訪英時に最初に訪れたエジンバラは、岩盤と石垣の城壁が入り乱れる、美しいエジンバラ城で有名である。エジンバラ城はそびえたつキャッスル・ロックという岩山の「上」にある。完全に、軍事目的の要塞だ。

 世界遺産になっているスコットランドのエジンバラの旧市街もまた、丘の上に広がっている。真ん中に、キャッスル・ロックがそびえたち、その上にエジンバラ城がある。

 旧市街やエジンバラ城がある丘の周囲は、元々は「堀」だった。堀を掘った目的は、もちろん侵略軍に対する「壁」であり、人びとは住みやすい平地(現・新市街)で暮らすことはできなかった。

 スコットランド人が、何をそこまで恐れていたのかと言えば、もちろん「イングランド王国」の侵略である(※エジンバラを最初に拓いたのは、アングル人のノーサンブリア王国なのだが)。

 ユーラシアの都市の多くは、分厚い、巨大な城壁で囲まれている。いざ、侵略者が地平線の向こう(あるいは水平線の向こう)から現れたとき、市民は城壁に閉じこもり「兵士」として戦う。さもなければ、生き延びられない。

 侵略による身内や同胞の死は、記憶に残る。ブリテン島の住民を含む「大陸の人びと」は、侵略者に対する憎しみの記憶や恐怖を忘れず、城壁や要塞を建設することで、次なる侵略に備えようとした。

 対する我が国は、ユーラシア文明史において唯一、侵略の歴史をほぼ持たず、代わりに「自然災害」という敵により、身内や同胞を殺され続けた。

 自然災害は、本来は「誰か」を恨むべき災難ではない。台風や地震は人間ではないのだ。

 とはいえ、現在の日本で繰り返される災害は、間違いなく「人災」である。政府が正しく防災投資を拡大し、民間が供給能力を引き上げる投資を蓄積していけば、救われた生命があり、失われずに済んだ財産があるのだ。

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