着物の柄から絵師・鈴木春信の代表作「風俗四季哥仙」を読み解く!春信の魅力 その4【後編】 (3/5ページ)

Japaaan

か  唐衣
き  着つつなれにし
つ  妻しあれば
ば  はるばる来ぬる
た  旅をしぞ思ふ

句頭に“かきつばた”という言葉を入れた折句にもなっており、「伊勢物語」の名場面の一つとされています。

「伊勢物語」は「源氏物語」にも影響を与えたと言われ、江戸時代に多くの人に愛読されました。そして着物の柄に杜若や川の流れ、または八橋などが描かれていると『あ、これは伊勢物語の・・・』という風に読み取られる訳です。

このようなことは鈴木春信も知っていたでしょう。ですから“曲水の宴”から“川の流れ”→“杜若”と連想したことは想像にやすく、この着物に描かれた花は“杜若(かきつばた)”と考えられます。

風俗四季哥仙_弥生(部分)

風俗四季哥仙_弥生(部分)

座っている女性が着ている着物の柄は“わらび柄”だと思われます。

この柄は中年以上の女性が着用するものと言われています。中年女性を“年増女”とするならば、江戸時代には“数え20で年増、25で中年増、30で大年増と呼んだ”ということですので、この女性の年齢はまだ二十歳そこそこで少女の世話役の女性でしょう。

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