今も昔も女心は難しい。追えば逃げるし、追わねば怒る…とある平安貴族の恋愛模様 (2/4ページ)
とは言え、誰でも(もちろん筆者も)そうであるように、どんな愚かしい人生であっても、その場その場においては懸命に生きてきたことは間違いなく、一つ一つのエピソードは読みごたえに富んで面白く、また味わい深いものとなっています。
今回のシーンは、そんな主人公が15歳の十三夜(治安二1022年9月13日)。月の美しさに魅入られた彼女は、みんなが寝静まった後も姉と二人、縁側で語り明かすのでした……。
月夜に「荻の葉」を訪ねてそんな時、表の路地を牛車(ぎっしゃ)が通りがかり、間もなく隣の屋敷前に停まりました。
「荻の葉……荻の葉の君よ……」
牛車から降りた男性が、門を叩きながら呼びかけます。荻(おぎ)とはススキに似た植物で、秋の美しい月によく映えます。
呼ばれた女性は、きっと荻の葉に縁のある出会いでそうあだ名されたのか、あるいは「荻の葉が揺れる月の夜に」など逢瀬の約束でもしたのかも知れません。ロマンチックですね。
しかし不在なのか、あるいは男を拒んでいるのかは分かりませんが門は開かず、その後、男性が何度か呼びかけても返事はなく、門も一向に開きません。