虚無僧ファッションが何故、江戸庶民に受け入れられたのか?鈴木春信の魅力 その5パート4 (2/6ページ)
[花翫暦色所八景] (助六)出典:都立中央図書館特別文庫室所蔵
『助六』といえばこの立ち姿を連想する人は多いでしょう。江戸時代、最高の人気を誇る演目『助六』は、“粋”という洗練された江戸文化を具現化した歌舞伎の最高傑作の一つで、のちの日本文化芸能に多大なる影響を与えました。
この『助六』の姿はある意味で虚無僧の投影でもあります。手にする傘は天蓋、腰には尺八です。『助六』は歌舞伎の形式的には“曽我もの”になるのですが、“曽我もの”から派生して独立した作品(つまり曾我兄弟の仇討ちの事実とは関わりがなく、その形だけを借りた)と言えます。
『助六由縁江戸桜』のあらすじを簡単にご紹介すると、舞台は江戸の一番裕福だった頃の吉原の郭の前です。