世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第355回 狂気のシミュレーション (2/3ページ)
内閣府は相変わらず、海外収支の赤字(=日本の経常収支黒字)に過大な期待をしているが、さすがに対GDP比4%以上の経常収支黒字が「継続的に膨張する」と想定するのは無理があったようで、最大で対GDP比3.9%という前提になっている。海外収支の赤字が「(きわめて高い赤字水準で)ほぼ一定」という想定になっているのだ。
となると、(2)の式から、「政府のPBを黒字化させるには、民間の黒字を減らさなければならない」となってしまい、実際に民間収支は’19年の対GDP比6.6%から、’29年には2.3%に減らされる。
そして、現在の「グローバリズム」に基づく企業優先のプライオリティを考える限り、「民間の黒字減少」の主役が「家計」になることは明らかなのだ。
つまりは、社会保障支出のカット、社会保障負担の引き上げ、さらには消費税増税など、家計を貧困化させる政策が今後も続くことにならざるを得ない。
実際、安倍政権はすでに昨年秋に「全世代型社会保障検討会議」を立ち上げ、社会保障支出削減と負担増の検討を始めている。とはいえ、消費税増税、社会保障負担増、社会保障支出削減は、すべて「デフレ化政策」だ。デフレの国は、過去20年の我が国が証明した通り、経済成長できない。
GDP成長率が低迷すると、税収は増えない。GDPとは「生産」「支出」「所得」の総計であり、生産面のGDP、支出面のGDP、(所得の)分配面のGDPはすべてイコールになる。我々は所得から税金を支払うため、GDPが増えなければ、税収も伸び悩む。
となると、PB黒字化目標が達成できなくなってしまうため、何と内閣府は「デフレ化政策」を推進するにも関わらず、日本がデフレから脱却し、GDPデフレーターベースのインフレ率が1.5%程度で推移し、名目GDPが「3.5%」で成長を続けるとシミュレートしているのだ。
安倍政権の緊縮財政は、政府と民間の支出を共に減らす。政府と民間が支出を減らせば、(1)から「GDPは成長しない」という結論にならざるを得ないが、それでは困る。というわけで、内閣府は我が国が「バブル期並み」の成長を遂げるという「設定」にしているのである。
ちなみに、名目GDP3%成長とは、別に高くはない。