世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第355回 狂気のシミュレーション (1/3ページ)

週刊実話

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第355回 狂気のシミュレーション

 安倍政権は、現在もプライマリーバランス(基礎的財政収支、以下PB)黒字化の目標を掲げたままだ。

 ここで、地球上で生きている限り、誰も逃れられない国民経済の原則を2つ、ご紹介しよう。

(1)国内総生産(GDP)=民間支出+政府支出+純輸出(※輸出−輸入)

(2)国内民間収支+国内政府収支+海外収支=0

 経済成長とは、GDPが増えることである。民間、政府、海外のいずれかが支出(消費+投資)を増やせば100%、GDPは増える。逆に、いずれかが支出を絞り込めば、これまた100%、GDPは減る。

 PB黒字化とは、(2)の政府収支を黒字化するという意味である。(2)の式から、政府が収支を黒字化するためには、他の2つ(民間もしくは海外)の収支を赤字化させるか、もしくは黒字を減らす必要があることが分かる。

 内閣府は、1月17日に中長期の財政試算のシミュレーションを公表した。シミュレーションでは「成長実現ケース」であっても、目標年度である2025年にPB赤字が3.6兆円となり、マスコミは例により「財政健全化へ多難な道のり アベノミクスに陰り」(産経新聞)、「財政黒字化、道険しく 社会保障改革が急務―政府」(時事通信)と報道して、’25年にPB黒字化「できない」ことを問題視しているが、話はまるで異なる。

 (2)の式から、政府の赤字を削減すると、(※海外収支変化なしの場合)民間の黒字は間違いなく減少する。「コインの表の反対側は、裏です」と言っているのと同じだ。国民を貧困化させるPB黒字化という政策を懸命に推進し、目標達成が遅れると嘆くのが、我が国のマスコミであり、政治家なのだ。

 図は、内閣府のシミュレーションについて、PB、民間の収支、海外の収支をグラフ化したものだ。PBは左軸で「兆円」という金額、民間収支と海外収支は右軸で対GDP比%である。

 図の通り、目標年度の’25年であっても、PBは3.6兆円の赤字。「だから大変だ」と、大騒ぎしているのがマスコミや政治家だが、問題はそこではない。

 (2)の式から、政府がPB赤字を縮小する時点で、民間もしくは海外は、必ず黒字が減るか、赤字が拡大することになる。

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