ユング派心理学者のアーノルド・ミンデルが提唱する「コーマワーク」とは (1/3ページ)

心に残る家族葬

ユング派心理学者のアーノルド・ミンデルが提唱する「コーマワーク」とは

昏睡状態・植物状態の患者の意識はどうなっているのだろうか。一生意識が戻らないと宣告された人たち。彼らは本当に意識がないのか。ユング派心理学者 アーノルドミンデルはこれに異を唱え、生死の境で足を止めている彼らの意識的なメッセージを受け止め解放させるワークを開発した。それが「コーマワーク」である。

■コーマワークとは

コーマ(coma)とは生命の危機によって陥る昏睡状態、植物状態を指す。意識が混濁しているとされる患者は、うなり声や喘ぎ声、眼球運動などを行うことがあるが、医学的には無意味な生理的反応だとされる。現代医学はこうしたうなり声などを意味ある発語とは認めず、身体のかすかな動きは筋肉の不随意運動反応に過ぎないと解釈する。昏睡・植物状態の人に寄り添っている家族が「かすかに笑った」などと言うことがあるが、医師はそうであってほしいという思うあまりそう見えるだけだと切り捨てる。しかし、ミンデルが創設したプロセス指向心理学(Process-Oriented Physiology =POP)ではそれらすべてのことに意味があるし、患者からのメッセージと考える。この理論を元に患者とのコミュニケーションを図るのがコーマワークである。

■具体的にコーマワークは何をするか

ミンデルは患者のうめき声に規則性を読み取って同調したり、筋肉の微妙な反応に呼応することで対話は実現できると提唱した。患者に寄り添い、根気よく観察していると、呼吸のペースが変化したり、目の色合いや口の微妙な反応を示すことがある。あまりに微弱な兆候であるため、訓練されたセラピストでなければ捉えることは難しい。セラピストは患者に「私もそれを見ている」「私もそれが聞こえる」など同調する言葉を投げかける。これによって双方の絆が強くなる。患者にとっては自分とコミットしようとしてくれているのだと理解した時、より大きな反応をすることがある。コミュニケーションを続けてその方向性が間違っていなければ、つまり患者にコミットする意思が伝わるなら、必ず何らかの反応があるとミンデルは断言する。

■コーマワークは自己決定を手助けすることが目的

対話ができるからといってその後も日常会話を延々とするわけではない。

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