「遺産はいらない」といっていた親族が豹変 相続のプロが目にした「争う族」の怖さ (1/5ページ)
誰でもいつかは直面するのが、親の死だ。
悲しいことだが、悲しんでばかりもいられない。残された家族の前に現実的な問題として立ちはだかるのが、「相続」である。
この相続、事前に準備しておくかどうかで、その後の家族関係や資産に大きな差が出る。これまで3000件を超える相続案件を手掛けてきた「相続トラブルバスター」・江幡吉昭氏は、著書『プロが教える 相続でモメないための本』(アスコム刊)で、相続をする側・される側双方に、相続についての基礎知識と今のうちにやっておくべき準備を解説している。
相続がきっかけで、家族仲が悪くなり、絶縁状態になる家族もいれば、円満に相続を終える家族もいる。両者を分けるものは何なのか。江幡氏にお話をうかがった。その後編をお届けする。
■身近な人が「争う族」になったことで相続のプロに――前編のお話にもありましたが、本書では遺言作成の重要性について繰り返し説かれています。江幡さんが遺言書を残しておくことの大切さを実感したエピソードがありましたら教えていただきたいです。
江幡:実は僕の身近な人が相続で争ったことがあるんです。親友の母の話になります。
親友の母には姉と兄がいました。その姉が亡くなった時のことです。姉は独身で、それなりに財産があった。

兄は自分でビジネスをやって羽振りがよかったので、親友の母が姉の介護をしていたこともあって「自分は遺産はいらない」と言っていたんです。つまり姉の生前、兄は「全額、妹が相続していい」と言っていたのです。
そうこうしているうちに兄はビジネスを売却してひと財産を得て、それで公益株を買いました。当時、公益株は配当が良かったですし、値動きも安定していましたから、退職金の運用によく使われていたんです。