「遺産はいらない」といっていた親族が豹変 相続のプロが目にした「争う族」の怖さ (2/5ページ)
ところが、東日本大震災が起きて、株の価値が十分の一になってしまった。そのタイミングで姉が亡くなったんです。
そうなると、兄は「遺産はいらない」という過去の発言なんて関係なく、自分の相続分を要求してきますよね。姉は遺言書を残していなかったので、そこでモメてしまったわけです。
――遺言書があれば江幡さんの親友の母がスムーズに相続できたのに……。
江幡:そうなんです。結局、親友の母が泣き寝入りする形で半分ずつ相続したのですが、遺言があれば、事前の申し合わせ通り彼の母が100%相続できました。兄弟(兄妹)間の相続には「遺留分」がないので、兄は何もできなかったはずです。
身近な人でこういう争いをしているのを見ていたことが、遺言を残す重要性を知ったきっかけでした。口約束は当てにならないんだなと。
――とはいえ「遺言を書いて欲しい」と親や親族に話すのは躊躇しますよね…。遺言を書いてもらうベストタイミングというのはあるのでしょうか?
江幡:はい、あります。それは、やはり体調を崩した時なんですよね。体調を崩すことは誰にでもありますし、例えいつも精力的で気丈な人であってもふとした時に弱気になってしまうことがあるんです。
だからといって、本人が納得していないのに周りが勝手に進めてしまうと、後々トラブルになり遺言取り消しにつながることも。なので、強引に進めることは絶対にしません。恋愛も同じですよね、何事も機が熟さないとうまくいかないものです。
そういったことも含めて、これまで関わってきた3000件の相続相談の経験をもとに、その顧客にとってベストタイミングを見極めて進言することができます。
――ただ、遺言は必ずしも万能ではないとも聞きます。遺言があっても相続でモメてしまう場合はどんなことが起きるのでしょうか?
江幡:今お話した「遺留分(兄弟姉妹以外の相続人は相続財産の一定割合を取得できる権利)」を侵害しているケースはモメますよね。遺言を残すにしても、そこには留意する必要があります。