モンゴルに自由と統一を!日本人と共に民族独立を目指したバボージャブ将軍の戦い【一】 (6/6ページ)
「……お待ちしておりました、バボージャブ先生……」
「そんな勿体ない……私など小巴(シャオバ)で十分ですよ……」
かつてユーラシア大陸を震撼せしめたモンゴル騎馬軍団。雄姿。ラシードゥッディーン『集史』14世紀
さっそく本題に入った仲之助は、モンゴル族の栄光を賞揚しながら、彼らの置かれた理不尽な現状に義憤を表わし、ロシア・清国からの軛(くびき)より解き放たるべきと訴えました。
(※仲之助は以前、僧侶に扮して各地を説法行脚しながら情報収集の任務に当たった経験があり、話術に巧みだったそうです)
「……そこでバボージャブ殿のお力を借りたいのです。馬の上で生まれ育った、偉大なるチンギス=ハーンの末裔であるあなたの力が……」
モンゴル族の誇りをこれでもかと刺激し、永年抱え込んできた鬱屈を心底理解してくれた。そして自分たちの可能性に、ここまで期待してくれている……すっかり花大人に魅了され、喜びに打ち震えるバボージャブが首を縦に振らない理由はありませんでした。
【続く】
※参考文献:
楊海英『チベットに舞う日本刀 モンゴル騎兵の現代史』文藝春秋、2014年11月
波多野勝『満蒙独立運動』PHP研究所、2001年2月
渡辺竜策『馬賊-日中戦争史の側面』中央公論新社、1964年4月
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan