戦国時代、結婚を拒んで壮絶な最期を遂げた悲劇の美女・藤代御前の怨霊伝説【中】 (2/4ページ)
藤代御前の懸念が的中……謀殺された夫の無念
「あやつさえ亡き者としてしまえば、藤代御前も生活のためにわしを頼らざるを得まいて……くっくっく……」
どこまでもゲスい為信は一計を案じ、家臣を呼んで密かに名刀を与え、これを藤代某に安く譲らせておいてから、素知らぬ顔で言いました。
「藤代の……そちが近ごろ、名刀を求めたと聞いた。わしもかねがね興味があって蒐集しておるので、コレクション鑑賞会を開かぬか?」
そう誘われた藤代某は「先刻の一件を忘れて、仲直りしたいのだな」と好意的に解釈。「これは罠に違いありませぬ」と懸念する藤代御前を笑い飛ばし、意気揚々と名刀を持参します。
策略だなどと露も疑わぬ藤代某は、家臣に案内される内に気づけば奥の間(為信のプライベートエリア)まで入り込んでいました。
「その方、登城の折は入口で刀を預ける法度を知らぬ筈もあるまいに、不敵にも奥の間へ大刀を持ち込むとは……弑逆(※)の意思ありと見た!」
「左様……過日の『お戯れ』を真に受け、お屋形様を逆恨みしての犯行に違いあるまい!」
(※)しいぎゃく。目上の者(=ここでは為信)を弑する=殺そうとすること。
何の事だか判らない藤代某が「そんなバカな、それがしはただ、お屋形様の使いより案内されて……」と周囲を見回しても、家臣の姿はどこにもありません。
「えぇい問答無用!者ども、此奴を引っ立てぃ!」