貴乃花「鬼の形相」上手投げ! 大相撲「伝説の一番」舞台裏 (3/5ページ)

日刊大衆

お互い左四つから、次第に右四つ。増位山が極端な右半身になると、両者は警戒し合って動かない。4分秒が経過し、この場所初の水入り。水入り後は、魁傑のすそ払いに増位山がのけぞって倒れそうになるも、体勢を立て直し、下手投げで増位山の勝利となった。

「魁傑さんとは、入門が2場所違いのほぼ同期生。若いときから、お互いの手の内を知っているから、下手に攻められない。警戒しているうちに、合計5分の相撲になってしまった。相撲人生で2回しかない水入りの相撲の中の一番です」と語るのは本人、増位山太志郎。

 増位山が他に忘れられないと語るのが、75年夏場所8日目、天覧相撲の麒麟児-富士櫻の取組だ。「突っ張り相撲の2人は50発くらい突っ張り合って、最後は、富士櫻の引きに乗じて麒麟児が勝った。僕ら四つ相撲の力士からすれば、“よくやるなぁ”って感じ(笑)。もうお互い、意地の張り合いという感じで、見ているほうは面白いよね。陛下も大変お喜びになったそうですね」(前同)

 また、71年夏場所5日目の貴ノ花-大鵬戦も、世代交代の一番として語り継がれている。21歳の新鋭・貴ノ花が30歳の大横綱に挑戦。貴ノ花のぶちかまし、大鵬の左からのかち上げで当たり合った後、左からいなす貴ノ花。体勢を崩す大鵬を100キロと細い体をぶつけるように寄り切った貴ノ花が勝利した。大鵬最後の一番は、次世代を担う若者へバトンを渡す形となった。

■北尾と小錦の熱戦

 昭和60年代(1985~95年)になると、大型力士の時代に移行する。199センチ、153キロの北尾と186センチ、233キロの小錦の対戦は、時代を象徴するような重量戦である。天覧相撲の1986年8日目、互いに全勝で臨んだ一番は、突っ張り合いの末、北尾の上手投げが決まったかと思われたが、軍配は小錦。物言いの末に取り直しとなり、今度は押し合いから、北尾が両上手を引きつけての寄り身。土俵際でこらえた小錦だったが、そこに北尾の体がのしかかり、さば折りで北尾の勝利。

「この相撲で右膝をケガした小錦は翌日から休場。

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