誰かが不幸になる「人事」はもうやめよう (3/7ページ)

新刊JP

たとえばハーズバーグの2要因論というのがあるんですけど、これは人間が満足を生む要因として「動機付け要因」があり、それと「衛生要因」とを整理したものなんです。

「動機付け要因」には、達成感、他者からの評価、仕事内容への満足感などがあり、「衛生要因」には、企業の方針や職場環境、給与や地位、雇用の保証などがあるとされます。

そして、「動機付け要因」が満たされると満足が生まれ、満たされないと不満足が生まれる。一方、「衛生要因」は満たされても満足は生まれませんが、満たされないと不満足が生まれるとする、満足と不満足に関する理論です。

一見、全ての企業の全ての職務に当てはまる理論のように感じますが、これは1959年に米国で、エンジニアと経理担当者200名をサンプルとして行われた研究(ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2003)なのです。現代の知識基盤社会の中で、これがどれほど自社に当てはまるのかとても疑問です。自社の様々な職務におけるハイパフォーマーに当てはまるかどうか、じっくりと考えていただくと見えてくると思います。このように、理論と現場の間には狭間があるんです。

――本書の冒頭で、須古さんが「誰かが不幸になる採用はもうやめよう」と書かれていました。こういう人事が生まれる背景として何があるのでしょうか?

田路:一つは経営者側の意識の問題で、人事を「利益をもたらさないコストセンター」として捉えている経営者が多いということです。戦略人事こそ優秀な人財を配属するっていう発想がないどころか、営業で通用しなかった人をとりあえず人事に異動させるとか、メンタル不調を起こして休職していた人をひとまず配属させるといったことをされているケースもあるんです。

更に、数年で容易に別の部署に異動させたりするので、せっかく蓄積されてきた経験知が誰にも受け継がれずリセットされたり、また業者の選定からリセットされることも多々あるんです。企業によっては社内政治的なものが絡んで、前任者と後任者の折り合いが悪ければ、前の人がやっていた施策は全て白紙撤回されたりもします。

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