戦国時代、加藤清正を追い詰めた男装の女武者・お京の方の武勇伝【ニ】 (4/4ページ)
「何を女々しかことを!男なら、勝つ負けるよりも大切な事があろう!」
血気盛んな「肥後もっこす(※当時こう呼んでいたかは未詳)」たちが次々と一揆に加勢していく中で、留まることを決断した正親の葛藤は、並大抵ではなかった筈です。
「お京……」
みんなが立ち去った後から、お京の方が入って来ます。
「……はい。血気に逸るばかりが勇気ではなく、家中や領民を安んずることもまた、惣領の務めにございますれば……」
「そなたにそう言って貰えると……少しは気が晴れる」
「あなた様のご決断は正しゅうございますし、また正しくなるよう、私どももお支えして参りまする」
果たして一揆は5か月後の12月に鎮圧され、首謀者らはその多くが処断されましたが、剛勇で知られた正親にとっては、居ても立っても居られない日々だったことでしょう。
【続く】
※参考文献:
国史研究会 編『国史叢書. 將軍記二 續撰清正記』国史研究会、1916年
戦国人名辞典編集委員会『戦国人名辞典』吉川弘文館、2005年
松田唯雄『天草温故』日本談義社、1956年
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