実はスゴすぎるアリの社会 「それぞれの持っている能力が最大限引き出されて達成」 (1/5ページ)
人間とアリが話して交渉する未来がやってくるかもしれない――。
「アリ先生」村上貴弘さんの話を聞くとそんなことを思わせてくれる。
アリの社会は私たち人間が想像する以上に多様で奥深い。そしてなんと音でコミュニケーションを取っていたりもするというから驚きだ。
アリの音を分析し過ぎて「アリ語で寝言を言ってしまった」という、九州大学持続可能な社会のための決断科学センター准教授の村上先生に、上梓したばかりの『アリ語で寝言を言いました』(扶桑社刊)についてお話をうかがった。
ここでは、アリの生態が人間社会に対して与える影響について聞いた。人間とアリの関係を調べていくと興味は尽きない。
(取材・文:金井元貴)
■人間の社会にも応用されるアリの社会と生態のすごさ――前半ではアリ同士のコミュニケーションについてお話をうかがいましたが、アリの社会の奥深さにも興味がわきます。巣を守るナベブタアリや、貯蔵役を果たすミツツボアリなど、それぞれの役割を担うだけのアリもいて、役割分担がしっかりされているのだなと。合理的ですよね。
村上:私たち人間から彼女らを見たときに、扉役、貯蔵役で一生を終えると聞くと「それでいいのだろうか」と思ってしまうかもしれません。でも、以前テレビ番組で共演した又吉直樹さんがおっしゃっていたのですが、我々はそれを奴隷のように思うかもしれないけれど、コロニーの中では英雄というか、重要な役割を担っているというわけです。そう考えると彼女らの仕事というのはアリ社会全体において大切だなと。
また、アリ社会の合理性というのは、個々のアリの自由度を削って達成されているわけではなく、個々は自由に動いているけれど全体を俯瞰してみると最適化されているという社会を形成しているんです。