源頼朝の遺志を受け継ぎ武士の世を実現「鎌倉殿の13人」北条義時の生涯を追う【六】 (4/7ページ)
「ん、何だか騒がしいな……?」
混乱しているようにも見えますが、なにぶん闇夜でみだりに動くのは危険なので、様子を窺いながら夜明けを待ち、敵陣を探ってみると、もぬけの殻となっています。
「何か策があるようにも見えないが……」
実は昨夜、武田信義の軍勢が夜襲をかけようと平家軍の背後へ回り込もうとしていたところ、うっかり水鳥を驚かせてしまい、驚いた水鳥の群れが一斉に飛び立ちます。
「すわっ、敵襲だぁ!」
慌てふためいた一部の者が逃げ出すと、かねて源氏の大軍に怯みがちだった平家の軍勢は、完全包囲されると思って我先に逃亡。一人の恐怖が十人に伝わり、それがまた百人に伝わり……そして誰もいなくなったのでした。
「ははは!水鳥の羽音に恐れをなして逃げ出しおったわ!」
永年の貴族暮らしですっかり腑抜けてしまった平家など、もはや恐れるには足りない……この大勝利に勢いを得た頼朝は、このまま東海道を驀進して、京都まで攻め上がろうとはしゃいでいます。