知ってる? 「淡々」と「坦々」の違い (4/6ページ)
「淡々と」であれば、「彼は淡々と喪主を務めた」となり、そこに厳かな緊張感はなく、冷たい印象を与えるでしょう。
ちなみにこの場合、後述する「坦々と」を使うことはふさわしくありません。
◇「粛々と」と「坦々と」の違い
また、「粛々と」「坦々と」は、起伏のない印象があることで若干似ているように感じられます。
ただし、「坦々と」の場合には、物理的な起伏のなさであり、転じて抽象化した起伏のなさであるにしても、意図せずして平坦である様子がほとんどでしょう。
一方、「粛々と」の起伏のなさは、厳かで抑制的な平坦さです。そこには、行為の主体者が静かであろうとする意図が感じられます。
「淡々と」はどんな時に使えるのか?(例文付き)
ここまで述べた「淡々と」と「坦々と」「粛々と」の違いを頭の片隅に置きつつ、改めて「淡々と」を使った例文を挙げます。
◇色や風味があっさりしている様子を表す時
☆例文
・彼の日本画は、淡々とした素朴な画風で、多くの人に愛されている。
・秋の新作を試食したが、ビビッドな色合いからは想像もつかない淡々とした味だった。
・彼女は、淡々とした色合いの服に小物でメリハリをつけるのがうまい。
◇態度があっさりしている様子を表す時
・彼女は、つらかったはずの思い出をもう吹っ切れたかのように、淡々と語った。
・私には思い入れの深い企画だったが、後継者により淡々と進められた。
・今年の入社式は、初のオンライン化で淡々とした味気ないものにならないよう、随所に工夫が施された。
■「淡々と」の言い換え表現
「淡々と」と似たような意味の言葉は他にもいろいろあります。ニュアンスの違いを把握して、上手に使い分けましょう。