政略結婚にも愛はあった。武田家滅亡に殉じた悲劇のヒロイン・北条夫人【上】 (5/6ページ)

Japaaan

「あなた……どうか我が兄上・三郎(景虎)をご支援下さいまし!」

北条夫人は景虎を支持するよう勝頼に訴えましたが、景虎は北条氏康の子で、北条夫人にとっては兄に当たります。

一方の景勝は謙信の甥であり、北条家および武田家とは何の血縁もなく、筋道から考えれば勝頼としては義兄・景虎を支援すべきところでしょう。

「う……む」

しかし、勝頼は景虎の支援をためらい、少し考え込みました。上杉家の跡を北条家ゆかりの景虎が継いだ場合、北条&上杉が武田家の東側をすべて包み込んでしまいます。

「後顧の憂いなく織田・徳川に立ち向かえるではないか」とも考えられますが、逆に「北条を敵に回すと、同時に上杉も相手しなくてはならない」とも言えます。

武田家を取り巻く勢力概略図。勝頼の決断がその後の運命を大きく変えた(イメージ)。

それよりは、上杉に独立を保たせたまま恩を売って同盟しておけば、西の織田&徳川にも、東の北条にも睨みが効いて、その後の戦略も選択肢が広がる……!

と思っていたところへ、景勝から「此度お味方下さるなら、それがしは武田家の膝下に従い、越後との国境にある信濃の五ヶ村を割譲致しましょう」との申し出。

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