ハイビスカスの種が納豆に…! 世界に広がる驚きの納豆文化 (3/6ページ)
高野:そうですね。あとは、納豆は菌と植物と人間の共生の形なのかなと。僕はこの本で「サピエンス納豆仮説」を唱えているのですが(笑)、それはまさにその三者がいかに共生していくかということなんです。
縄文時代初期、縄文人たちは野生のツルマメを食べていましたが、中期頃からツルマメが巨大化し、現在の大豆に似た豆になります。つまり、縄文人はツルマメを栽培種化して大豆を作ったということです。でも、実は大豆には消化によくない成分が含まれていて、ふつうに煮ただけで食べる民族は日本人以外はほとんどいない。だからこそ発酵させて納豆や味噌として食べる。すると、そういう成分は分解されて、さらに体にいい栄養素もたくさん生まれるんです。ツルマメは野生種なだけに体によくない成分がもっとあったでしょう。ではなぜ縄文人はどうやってツルマメを食べていたのかという疑問が出てくる。そこで私が考えたのは、縄文人たちはそのツルマメを石臼でつぶして、納豆菌で発酵させて食べていたのではないか、と。
そう考えていくと「人間は大豆が納豆を作ったのではなく、納豆で大豆を作った」ということも言えるのだと思うんです。つまり、納豆がまずあって、それから大豆を使うようになったということです。
本当にいろいろな切り口というか見方ができますよね。納豆を通すと。
――また、各地の納豆料理を食べた高野さんや、同行したカメラマンの竹村さんが「日本人好み」とおっしゃっているのが目に入りました。民族によって味覚の好みは違うと思いますが、納豆民族の人たちは味覚も似ているのでしょうか?
高野:似ていると思いますね。試食したときに出てくる表現、味が尖っているとか、丸いとか、柔らかいとか、そういう言語表現も同じです。それは同じ人間であることはベースにあると思うんですが、さらに上の段階で、食文化も似ているんでしょう。それは納豆をうま味として使ってきたから、そういう風になっているのかもしれません。
■食をテーマに取材をすることの醍醐味とは?――そして締めくくりは「納豆菌ワールドカップ」の開催ということで。