人間の体が突然燃える「人体自然発火現象」の謎を科学的に検証する (2/5ページ)
これが、人体自然発火が報告された史上初の記録だと考えられている。
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1673年、フランスの作家、ジョナス・デュポンは、人体自然発火についての症例と研究をまとめた『De Incendiis Corporis Humani Spontaneis』を出版した。
フランスでの有名な事件は1725年にさかのぼる。パリにある宿屋の主人が、煙のにおいに目を覚ますと、妻のニコール・ミレーの体が燃えて灰になっていた。だが、彼女が寝ていた寝床の藁は、まったく燃えていなかったという。
慢性的なアルコール中毒だったニコールの体で残っていたのは、頭蓋骨、背骨が数本、下腿の骨だけだったという。周囲にあった木材の類は、まったく燃えていなかった。結局、夫が殺人罪で有罪になった。
ニコールの遺体が発見されたとき、その宿屋にはクロード=ニコラス・ル・キャット博士という外科医が泊まっていた。彼の証言のおかげもあって、抗告審判で裁判官は、ニコールの死因は「人体自然発火」だったという弁護を認めた。のちに、ニコールの死は"神の思し召しの結果"ということになった。
19世紀には、有名なイギリスの作家、チャールズ・ディケンズが『荒涼館』の中で、登場人物のひとりを殺すのに人体自然発火現象を利用したため、この現象が世間に知られるようになった。