夜這い対策にはコレが一番?男性のアレを××してしまう「今昔物語集」の秘術【下】 (3/7ページ)
「是非、それがしにもご伝授下され!」
そう来ると思った郡司は道範の申し出を「快諾」し、とりあえず任務を完了した後に「改めて」一人で来るよう伝えました。
「心得申した」
「お待ちしており申す」
……後日、再訪した道範から相応の報酬を受け取った郡司は、さっそく妖術修行を開始します。
「さて、この術の修行はとても厳しいものです。まずは七日七晩にわたって精進潔斎(しょうじんけっさい)し、心身を清めた上で……」
随分ともったいをつけながら、郡司は続けます。
「……これより一切『三宝(さんぽう)を信じない』という誓願を立てていただく必要があります」
三宝とは、仏教において最も大切な三つの宝、すなわち仏法僧(ぶつ・ほう・そう)を指すのですが、当時の人々にとって仏のみ教えを否定するのは、死ぬより恐ろしい事でした。
もしそんなことをすれば、死んでも成仏できず、永遠に地獄の中を彷徨い続ける運命が待っているからです。
「本当に、その覚悟は出来ていますか……?」
さすがに神妙な面持ちで訊ねる郡司ですが、道範とすればここまで来たら、もう引き下がれません。