夜這い対策にはコレが一番?男性のアレを××してしまう「今昔物語集」の秘術【下】 (5/7ページ)
「いかがでしたかな?」
「いやぁ……お恥ずかしながら、つい逃げ出してしまいました……」
「そんな程度の覚悟では、とうてい術は身につきませんぞ?……もう一度だけチャンスをあげますから、今度こそ頑張るのですぞ」
「はぁ、面目ない……」
そして泣きのテイク2もシチュエーションは同じで、今度は濃霧の中から、ヤマトタケルを呪い殺した伊吹(いぶき)山の主もかくやとばかりの大イノシシが飛び出して来ました。
「うわぁ!……でも、これが最後のチャンス……もうどうにでもなれ!」
必死の思いで道範が飛びつくと、大イノシシが丸太に化けて、あれほど濃かった霧もすっかり晴れ渡っています。
「……これで試験は合格にございます」
拍手と共に戻って来た郡司は、勇気を絞り尽くして腰の抜けた道範を助け起こして言いました。
「残念ながら、ご所望の『男性のアレをアレする術』は身につきませぬが、他の術なら色々と教えて差し上げますぞ……まぁ、宴会の余興くらいにはなりましょう」
(あぁ……最初の大蛇も、実際はこんな丸太か何かだったんだろうな……勇気を出して飛びつけばよかった……)
ガッカリした道範でしたが、手ぶらで帰るのも何なので、郡司からさまざまな妖術を教わったのでした。