2020年の年末調整の注意点を元国税の税理士が解説(前編) (1/2ページ)
サラリーマンの給与について、毎年年末に行われる年末調整について、2020年もその時期が迫ってきました。今回の年末調整は、一例として以下のような重要な改正が多いため、注意して行う必要があります。
・給与所得控除の改正
・基礎控除の改正
・所得金額調整控除の創設
■給与所得控除の改正
給与所得者の必要経費に当たる給与所得控除は、給与収入の一定金額を概算の経費とするものですが、給与所得控除は給与収入年1千万円の上限が設定されていました。すなわち、1千万円以上の給与収入の場合、金額に関係なく、220万円しか控除ができないとされていました。
この上限について、令和2年以後については、給与収入年850万円の上限で、給与所得控除額は195万円までに引き下げられることとなっています。
加えて、給与所得控除額は、従来に比して、一律10万円減額されることとされました。
■基礎控除の改正
基礎控除については、従来一律38万円の控除とされていましたが、令和2年より以下の通りとされました。すなわち、控除額が増額される反面、合計所得金額に応じて逓減する仕組みが取られているのです。
本人の合計所得金額
控除額
2,400万円以下
48万円
2,400万円超2,450万円以下
32万円
2,450万円超2,500万円以下
16万円
2,500万円超
0円
基礎控除についてこのような改正が行われたため、年末要請の必要書類として、「給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告書」という新しい書類が作られています。
■所得金額調整控除の創設
先の通り、給与所得控除額は一律10万円減額されていますが、実は公的年金に係る控除額である公的年金等控除額も一律10万円減額されています。このため、基礎控除の10万円増額を踏まえると、差引控除額が10万円減額されることになります。
こうなると、税負担が増えますので、以下の者について、新しい控除として所得金額調整控除が認められています。