まさに蘭学の化け物!江戸時代、前野良沢が『解体新書』に名前を載せなかった理由とは (3/6ページ)
挿絵に書き添えてある単語ならその名称であろうと推測でき、そこから前後関係などつなげていくなどしましたが、人間の生死に影響を及ぼしかねない医学に関わることですから、確実に翻訳しなければなりません。
『ターヘル・アナトミア』。Wikipedia(撮影:Momotarou2012氏)より。
途中で仲間が辞書を手に入れてくれたものの、この時代に「蘭和(オランダ語⇒日本語)辞書」など存在せず、オランダ語についてオランダ語で紹介する「蘭蘭(らんらん)辞書」。楽しそうとか言っている場合ではありません。
「オランダ語について知りたいのに、オランダ語で説明されても判るかーッ!」
これを翻訳すれば、日本の医術は大きく飛躍できるはず……そう思って始めたものの、すっかり暗礁に乗り上げてしまいましたが、良沢は諦めませんでした。
「いや、国が異なり言葉が違えど、同じ人間である以上、理解できないはずはない。まして身体のつくりは同じだろうから、日本の医学や実際の人体を見直すことで、突破口が見えるはずだ!」
そこで処刑された罪人の腑分(ふわけ。解剖)を見学するなどして、観念的にしか把握していなかった人体の構造を理解するにつれて、『ターヘル・アナトミア』の記述に血が通ってくるのが感じられます。
「言葉は必ず何かを説明しているものだ。