死んだ人間の脳を手術で生かし続けようとした医師の物語 (2/4ページ)

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・究極の目標は達成できず

 傑出した業績を残したホワイト医師であったが、彼の究極の目標が達成されることはなかった。それは脳に宿った人間の魂を、オリジナルの体が失われた後も生かし続けることだ。

 1976年、ホワイト医師は手に脳を乗せながら、こう語ったという。「香水だったが、今はもう空っぽのビンだ。それでも残り香はまだある」

 その時点で、彼にはすでに損傷した脳と脊椎の機能を保存する算段がついていた。あとは実際にそれを行なって命を救ってみせるだけだ。彼の手法は「低体温かん流法」というもので、そのやり方は今日でも怪我人や心肺停止した患者の治療に使われている。

 だが、それから40年間、人体の胴体移植(と彼は呼んだ)は実現することなく、ホワイト医師は2010年に死去した。

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・フランケンシュタイン博士と揶揄されたホワイト医師

 1990年台後半には移植の候補者まで見つかっていた。臓器不全のために余命いくばくもないクレイグ・ベトビッツという四肢麻痺の男性と、胴体のドナーとなる脳死の男性だ。

 だがホワイト医師には、インチキ療法を行う医師という批判が浴びせられていた。タブロイド紙には、「フランケンシュタイン博士とその忠実な怪物」という酷い中傷まで掲載されるようになった。

 シラス氏によれば、衝撃的なことにいつまでも慣れようとしない大衆に、彼は不満を抱いていたという。

 その一方で、フランケンシュタイン博士と書かれた医師カバンを携えて出かけることもあった。彼にはそんな二面性があったのだ。
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