日本でのホスピスやターミナルケアの原型となった「二十五三昧会」 (1/4ページ)

心に残る家族葬

日本でのホスピスやターミナルケアの原型となった「二十五三昧会」

現代に先んじること1000年前、日本におけるホスピス、ターミナルケアの原型といえる集団「二十五三昧会」(にじゅうござんまいえ)が僧侶たちによって結成された。彼らの信条・活動が病理を抱える現代社会に与えるヒントとは。

■「二十五三昧会」(にじゅうござんまいえ)とは

「二十五三昧会」(にじゅうござんまいえ)は、986年比叡山・横川の首楞厳院において、恵心僧都源信(942~1017)、慶滋保胤(?〜1002)ら25人の僧によって結成された念仏結社である。恵心僧都源信は今に伝わる地獄・極楽図を描いた「往生要集」の著者。慶滋保胤は極楽往生の物語を集めた「日本往生極楽記」の撰者として著名である。この結社は極楽往生を希求する集まりで、月ごとに僧衆25名が集結して念仏を修め往生を願った。

■「二十五三昧会」が定めた規則とは

彼等の「発願文」には、互いに善友の契りを結び、臨終の際には相互に扶助して念仏することなどが記されている。結社の規則は以下の通りである。

・毎月15日の夜に念仏三昧を修する。
・毎月15日に正午以降、念仏三昧の前に法華経を講ずる。
・15日の夜は仏前に灯明を供える。
・メンバー(結集)を葬送する時に用いる土砂に光明真言を唱えて加持をしておく。
・メンバーは永く父母兄弟であると思うこと。
・入会後は三業(身・口・意)の行いを慎み善行に励む。
・メンバーが病気になったら、お互いそのことを告げ、臨終に備える。
・メンバーが病気になったら、持ち回りで看護し、常にそばに寄り添う。
・阿弥陀仏が鎮座する「往生院」を建て、病人を移して臨終に備える。
・あらかじめ土地を選び、そこを「安養廟」と呼んでメンバーの墓地とする。
・メンバーが死んだときは皆で葬儀を行う。皆は安養廟に集まり念仏を唱え極楽往生を願う。
・メンバーは規律を厳守し、違反した者は脱退させ、新メンバーを補充する。

■「二十五三昧会」はホスピスやターミナルケア、看取りを目的としていた

往生院は現代でいうホスピスである。結社では病んだメンバーを往生院に移し、2人1組となって昼夜問わず傍に寄り添い1人が看病。

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