ブッダはアジャセに何をしたのか スピリチュアリティの本質とは何か (3/4ページ)
そしてアジャセは、ブッダの慈悲に触れ、自ら罪を作らないことのみならず、あらゆる人々の煩悩の苦しみを除いてあげたいという願心がわきおこっている。
人は自分ひとりで生まれ、生きてきたのではない。多くのものや人に生かされてきた。その恩を余さず注ぐこと。それは自分自身にとっても大きな意味を持つ。受けた恩恵は次の者へ。人はそうしてつながっていくものである。教育評論家 水谷修は著書や講演で「人のために何かをすることで『ありがとう』という言葉が返ってくる。そのことで自分が必要とされている大切な存在であることに気づくことができる」と述べている。まさにアジャセはブッダという他者の慈悲によって「仏性」に気づき、他者とのつながりを次の者へ分け与えようとまで魂が成長したのであった。
■本当のスピリチュアルとは
アジャセ物語は、人間は罪深く苦しむ存在であるが、その内には光(仏性)が宿っていること。それに気づくには、傍に寄り添い、全てを受け入れる、他者の慈悲が必要であること。その他者とのつながりを知ることで、仏性に目覚め苦しみから救われることを示している。
「スピリチュアル」「スピリチュアリティ」はすっかり日本語として定着したが、この「気づき」こそがその本来の意味であり、慟哭、悲嘆、孤独…などを克服する道であることを示しておきたい。