藤井聡太「最年少タイトル防衛」へのマル秘特訓(2)「10秒7億手」の超速AIを用いて… (1/2ページ)
そんな藤井の強さを語る上で欠かせないのが、コンピュータ将棋ソフトによる「AI研究」だろう。「タヌキの為に鐘は鳴る」などのソフト開発に携わる野田久順氏が解説する。
「パソコンのモニターに映る盤面に局面を入力すると、最善手や先手・後手のどちらが優勢かを『評価値』と呼ばれる数値で示します。一手ごとの全パターンをしらみつぶしに読む『全幅探索』がプログラミングされており、人間の頭脳よりも短い時間でより深く広く読むことが可能になりました。藤井さんも評価値が表示される機能がお気に入りで、プロ入り前の奨励会三段リーグ時代から事前研究の一環として活用してきたようです」
その具体的な活用方法については、コンピュータ将棋ソフト「水匠」開発者の杉村達也氏が続ける。
「大きく2パターンに分けられます。一つ目は、自分の対局を振り返る『復習』。AIに一手ごとに評価させて、形勢が傾いた場面や悪手を指した場面を割り出します。二つ目は、対局前に有利な局面を洗い出す『予習』。対戦相手の棋譜をデータベースから取り寄せてソフトに入力し、序盤の展開を研究します。今回の棋聖戦の棋譜は、途中まで前回の対局を踏襲したものでした。おそらく二人ともAIを用いた事前研究をして対局に臨んだのでしょう」
ともすれば、序盤の形勢は、棋士同士の実力よりもAIの性能で左右されそうである。トップ棋士の中で頭ひとつ抜きん出るためには、AIを扱うハード面の充実も忘れてはならない。