悲しみを和らげるというグリーフケアは具体的にどのような行為か (2/2ページ)
生前、故人が好んでいた音楽を流してくれたり、趣味のものを棺に納めるようすすめてくれることもある。さらには、祭壇を通常の白木ではなく、故人が好んでいたもので飾ることが遺族の心を救うケースもある。
■グリーフケアの資格
グリーフケアには、資格も存在する。一つは「グリーフケア・アドバイザー」である。これは日本グリーフケア協会が定めた、民間資格である。この資格を取得することで、日本人の死別悲嘆に対する反応、その痛みをいやすアプローチのノウハウを学び、身につけたことを証明できる。特に試験はなく、申し込んだ後に研修を受けて取得する。しかし、特級(上級)のみ、取得には日本グリーフケア協会からの推薦が必要だ。
そして、グリーフ・カウンセラー。こちらは民法資格である。これは、死別の苦しみのさなかにある人を、支援する知識を持つとされる者に与えられる。この資格は養成講座を受けなければならない。しかし、それだけに得られる知識は専門的だ。
■終活の一環として行う、本人によるグリーフケア
遺していく家族のために、本人がグリーフケアを行うこともある。たとえば、葬儀費用や手続きにまつわる書類などをそろえておいたり、遺言などあれば、それを正式な方法で書面にしておいたりすることも家族のためのグリーフケアといえる。それだけでなく、日頃から感謝のことばを伝えておいたり、そうした内容を日記にしたためておくのも、また、家族にとってはかけがえのない大切なものになる。胸の痛みはあれど、どこかすっきりとした、あたたかなものも感じられることだろう。また、生前に本人がグリーフケアを行うことで、自分自身もまた、いやされていくものなのだ。
■祖母の旅支度をしたこともグリーフケアの一環だった
筆者の場合、祖母が亡くなったときに、足袋をはかせてもらった。実のところ、私は、祖母の訃報を受けても、一つの涙も出てはこなかった。薄情な人間だな、と、他人事のように考えた。しかし、足袋をはかせるためにその遺体にふれて、初めて死を実感した。その瞬間に、涙がぼろぼろとあふれて足袋のひもを結ぶのにかなり時間がかかった。非現実的、感傷的な物言いになるが、祖母がその死を実感させてくれなければ、私は自分をいつまでも薄情な人間と思い続けていただろう。いま思えば、あれは祖母によってなされた、グリーフケアの一環だった。