神にも鬼にもなる牛 牛を祀る神社や牛に関連した神事を調べてみた (1/6ページ)
今年の干支は丑(うし)だ。そして2021年は「辛丑(かのとのうし)」。十干(じっかん)では「辛」は、草木がかれている様子などの衰退を意味し、十二支(じゅうにし)の「丑」は新芽が出ている状態へ移り変わろうとしていることだという。これらのことから、今年は「転換期」にある1年だと言われている。
■牛と人との歴史は古い
そもそも「丑」こと「牛」は、哺乳類偶蹄目(ぐうていもく)ウシ科の動物である。家畜で知られる「牛」の他に、水牛・バイソンなどの野生種も含まれる。
「牛」が家畜化されたのは紀元前8000〜5000年頃、西アジアのメソポタミア文明が発祥とされている。しかも牛の場合、家畜としての役割を担っただけではない。例えば今日、会社または政界などの大舞台で、ある人物が主導権を握って支配することを「牛耳る」と言う。これは、中国の春秋戦国時代(BC770〜BC221年)に、諸侯が盟約を結ぶ時、盟主が牛の耳を取ってそれを裂き、血をすすり合って団結を誓った儀式に由来するというように、宗教を含む重要な儀礼における「生贄」として、欠かせない生き物だった。
■人の役に立ってきた牛であるが、時に鬼になることもある
このような牛が日本に伝わったのは、中国から朝鮮半島経由で、縄文時代(BC14000年頃〜BC10世紀)または弥生時代(BC10世紀〜AD3世紀)と考えられている。今日のように肉や乳を取るというよりも、耕運機やトラクターがなかった時代でもあるため、農作業の手助けとして、大いに人々の役に立ってきた。しかも牛は大きく太り、なおかつのんびりした雰囲気を持っていることから、豊穣のシンボルとも捉えられてきた。しかし牛は時に、「鬼」になることもある。地獄の閻魔庁の獄卒である「牛頭(ごず)」は、頭が牛、体が人間の化け物で、清少納言(966頃〜1025頃)の『枕草子』(1001年成立)にも、「おそろしきもの」のひとつとして、「名よりも見るはおそろし」と記されている。