共感だけではダメ。仲間意識がないと他者を助ける行動には至らないことがラットの研究で明らかに (2/3ページ)
はたして自由なラットは、ピンチに陥ったラットを目にしてどのような行動をとるだろうか?
credit:Inbal Ben-Ami Bartal
・共感だけではなく、仲間意識がないと助けない
ここから判明したのは、どんなラットも相手の苦しさを感じ取り、それに対して共感を示すということだ。
具体的には、脳の感覚野や眼窩前頭野などが活発になる。この点において、相手が自分と同じ種類であるかどうかや、群れの仲間であるかどうかは関係がない。
だがポイントはここからだ。共感だけではダメなのである。動けるラットがシリンダーの扉を開けて相手を救助するのは、報酬系(すなわち側坐核)にスイッチが入ったときだけだった。
そして報酬系にスイッチが入るのは、相手が群れの仲間であるときだけだった。苦しむ相手が自分の仲間であるときだけ、報酬系が強く反応し、実際に救助しようとしたのである。
ratEmpathyScience・同じ人間であり仲間だという意識が世界を変える可能性
人間をはじめとする哺乳類にも、基本的にラットと同じ共感と報酬のメカニズムが備わっている。このことは、私たちにもまた仲間だけを選好するバイアスが存在することを示唆しているという。
ニュースなどで、海外で大変な状況に陥っている人たちを目にすることがある。その境遇に共感しかわいそうに思う人は多いだろう。だがそのうちの、どれくらいの人が実際に救いの手を差し伸べるだろうか?
主執筆者のインバル・ベン=アミ・バータル氏は、「共感だけでは救助行動を期待できません。ここが重要な点なのです」と語る。