「ポケットにあるだけの小銭を握りしめ、近付いてきた一人の紳士。それを私に渡すと...」(大阪府・50代男性) (1/2ページ)
海外でのホームステイに、「ホームシック」はつきものだろう。
郷里の親や、友人の声をどうしても聞きたくなる日もあるかもしれない。
今ではパソコンやスマホで簡単に連絡をとることができるが、かつてはもっとハードルが高かった。
コロナ禍でなかなか旅行に行けない今、かつての楽しい思い出を振り返ろうとJタウンネットが「旅先でのいい話」を募集したところ、大阪府の50代男性・D介さん(仮名)から、まさにそんなエピソードが寄せられた。
彼が大学生だった、30年ほど前のことだ。
友人と2人で卒業旅行として、オーストラリアへ語学研修のホームステイに行ったD介さん。
シドニーのキャンプジーという町で独り暮らしのおじいさんの家に滞在する事に。
一緒に行った友人とは研修先の学校で会うことができるが、夜はおじいさんと二人きりで過ごすしかなく......。
ポケットの小銭を握りしめ...「2週間近く経ったころ、さすがにホームシックに近い状態になり、家族へ電話しようと近所の公衆電話へ向かいました」(D介さん)
ところが、公衆電話のある場所に着いた時、D介さんは小銭を持ち合わせていないことに気が付いた。
「周りを見渡してもお店らしきものは無く、すぐ近くにあるテイクアウト専門と思しきピザ屋しかありませんでした。けれど、両替してもらおうと店に入ったら見事に断られてしまいました」(D介さん)
これでは家族に電話をかけることができない。どうしたものか、とD介さんが悩んでいると......。
「私が困った顔をしていると、ピザ屋のお客さんだった一人の紳士が近づいてきて、ポケットにあるだけの小銭を握りしめ、私に渡してくれました。