恋人に逢おうと公務をサボった結果…『今昔物語集』より橘則光の武勇伝 (4/4ページ)
「天下を脅かしたこの三悪党は、それがしが倒したのだ!」
群衆の向こうをのぞき込むと、三人の遺体の傍らに身分の低そうな武士が一人、何やらわめいているようです。
「ほぅ、あの男が斬ったのか。三人相手に、大したものじゃのぅ」
つまりあの武士は、死人に口なしとばかり「こいつらは悪党で」「斬ったのは自分の手柄」と吹聴し、自分を召し抱えるようアピールしているのでした。
(あの野郎!そいつらを斬ったのは我じゃ……がそれを言ったら宿直をサボったのがバレてしまう……)
こうしてジレンマを抱えたまま、悪党退治の手柄はその武士に奪われてしまったということです。
終わりに世の中、何か隠さなければいけない時ほど「みんなに言いたい」出来事に遭遇してしまいがち。
だけど言えないもどかしさ……こういう経験、皆さんにはあるでしょうか。いつか時効が来たら、是非とも教えて欲しいものです。
※参考文献:
繁田信一『平安朝の事件簿 王朝びとの殺人・強盗・汚職』文春新書、2020年10月
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